プラットフォーム

当社グループは独自のプラットフォームで様々なことを可能にします。

  • 薬理作用を有する立体構造を維持した状態でGPCR(オーファン受容体を含む)を安定化(StaR®タンパク質)
  • X線構造化解析、クライオ電子顕微鏡法(Cryo-EM)、Biophysical Mapping™によりGPCRおよびそのリガンド結合体の3D構造を決定
  • GPCRに対して先端のフラグメントベース創薬 (FBDD)を展開
  • GPCRの薬理学と創薬化学の統合
  • 注目されながら創薬が困難であったGPCRを標的にした新規化合物の創出


StaR® 

StaR® (Stabilised Receptor)技術は、当社のSBDDプラットフォームの柱となる技術であり、GPCRの構造を詳細に解明することで、GPCRが持つ可能性の扉を開きます。

StaR®技術は、リガンド結合部の外側に少数の点変異を起こすことで、細胞膜からGPCRを抽出した後でも立体構造を保持できるようにするものです。その結果得られる安定化したタンパク質(StaR®タンパク質)は、同種の「天然型」タンパク質よりもはるかに安定したものとなります。StaR®タンパク質は比較的容易に精製でき、様々な化合物の探索や生物物理学的アプローチにつながります。

 例えば、これらのStaR®タンパク質は、詳細なX線構造解析のために結晶化することが可能であるため、天然型タンパク質を用いた創薬と比べて安全性と有効性が高く、非臨床や臨床段階での開発中止率が低い医薬品を設計することができます。またStaR®技術により作製した安定化タンパク質は、in vitroファージディスプレイを用いたスクリーニングや動物への免疫による生物製剤探索にも利用できます。

CHESS

CHESSは分子進化に関連した技術で、オリジナルのGPCRに非常に近い構造でより安定化したタンパク質の集合体(パネル)を迅速に作出して、これをSBDDに適用します。 

CHESSは、オリジナルGPCRの何百万もの変異タンパク質から、機能的で安定している変異体を選抜して進化させ、創薬に最適な変異体を特定します。この技術を魅力的なGPCRに適用し、正確に折り畳まれたGPCRをリガンド未結合の状態で精製、保存することができます。これらのGPCRはE. coliなどの比較的安価な宿主を用いた発現系でも高品質なタンパク質を得ることができ、迅速な創薬が可能になります。CHESSにより、ハイスループットスクリーニングや生物製剤探索のほか様々な構造学的および物理化学的技術に使用可能な安定したGPCRを供給することができます。

SaBRE

SaBREはCHESSと類似した技術であり、オリジナルのGPCRに非常に近い構造でより安定化したタンパク質のパネルを迅速に作出して、これをSBDDに適用します。

SaBRE(Saccharomyces cerevisiae-Based Receptor Evolution)は真核生物を宿主とする系に設計された技術ですので、GPCRスーパーファミリーの中で発現が最も困難なものでも変異体を創出することが可能です。

 

創薬

化学物質からの新たな創薬

当社グループの技術で、これまで困難とされたGPCRを調節する新規低分子やペプチドの創薬に、強力で精度の高いSBDDを用いることができるようになりました。この手法は通常、可溶性酵素の標的に対して使用されていますが、今ではStaR®タンパク質に応用され、ケミカルライブラリーの初期スクリーニングから、化合物の最適化に至るまで適用が可能です。

抗体治療薬の探索

GPCRは、現在抗体薬が使用されている炎症性疾患、代謝疾患、がんなどの多種多様な疾患に関係しており、GPCRに対する抗体医薬は現在盛んに研究・開発が行われています。しかし、それらの多くは早期段階であり、今日までに承認されているGPCRを標的とした抗体薬は2剤のみです(2021年4月)。この医薬品開発におけるギャップは、GPCRを標的とする抗体薬開発が抱える課題を示しています。

StaR®タンパク質はGPCRを細胞膜外で安定させ、受容体の折り畳み構造を維持することにより、抗体薬の創薬を可能にします。StaR®タンパク質は生物学的に関連するすべてのエピトープ(抗原決定基)を保持しているため、in vivoで免疫化のための抗原として使用すると、多様な機能的抗体を得ることができます。このようなことは、細胞膜から抽出されると構造的・機能的安定性を失うGPCRの特徴から、以前は不可能であると考えられていました。

化合物管理と創薬アプローチを支える最先端の自動化技術を使用