創薬
「ムスカリン受容体の統合失調症の分子病態と治療における役割の理解の進展」と題する論文が、Frontiers of Cellに掲載されました
By | Mar 1, 2023
当社のトランスレーショナル・メディシン・チーム*のメンバーらが共著した査読付き論文「A Growing Understanding of Role of Muscarinic Receptors in the Molecular Pathology and Treatment of Schizophrenia」が、Frontiers of Cellular Neuroscienceに掲載されました。
*Geor Bakker、Sosei Heptares社外コンサルタント - トランスレーショナルメディスン(神経科学)、Alastair Brown トランスレーショナル・メディスン部門シニア・バイス・プレジデント
要旨
前臨床モデル、死後解剖、神経画像研究のすべてが、統合失調症の分子病態におけるムスカリン受容体の役割を裏付けていることから、ムスカリン受容体の活性化が統合失調症の症状の重篤度を軽減することが提案された。この仮説は、現在、中枢性ムスカリンM1およびM4受容体を活性化することで、この疾患の陽性、陰性、認知症状の重症度を軽減できるという2つの臨床試験の結果によって裏付けられている。本論文では、ムスカリンM1およびM4受容体が、統合失調症の病態生理によって制御不能となったCNS機能において重要な役割を担っていることを論証する一連のエビデンスについて、最新の知見を述べる。 分子神経画像法を用いてヒトCNSのムスカリンM1およびM4受容体を可視化・定量化できるようになったことにより、これが可能になってきたといえる。
このような進歩が、統合失調症という症候群の中に、ムスカリンM1受容体の著しい消失によって引き起こされる独特の分子病態を持つ患者群が存在するという考えを裏づける証拠となったことを説明する。 ムスカリン受容体を標的とする薬剤が精神分裂病の治療に用いられるようになった今、この論文はタイムリーであり、そのような薬剤の開発を可能にした背景となる生物学を概説するものである。