知識

創薬

GPCR安定化技術を用いた創薬

By Eugenia Sergeev | Nov 20, 2019

カンファレンスについて

『化学者が知っておくべき生物学の知識1:生体外における生物学』

SCI’s Young Chemists’ Panel主催

2019年11月11日

ロンドン、英国

カンファレンス ウェブサイト(英語)

 

サマリー   

当社分子薬理学部門、リサーチ・サイエンティストであるEugenia Sergeevが、11月11日に英・ロンドンでthe Society of Chemical IndustryのYoung Chemists’ Panel主催のレクチャーカンファレンス『化学者が知っておくべき生物学の知識1 : 生体外における生物学』に参加し、『GPCR安定化技術を用いた創薬』と題した講義を行いました。

 

要旨

Gタンパク質共役受容体(GPCR)は創薬ターゲットの中でも確立したファミリーであり、広範な疾患に関与し、米国食品医薬品局(FDA)の承認薬全体の30%以上がGPCRをターゲットとしている。こうした成功事例の一方で、GPCRファミリーの多くが未だ未創薬であり、創薬に大きな可能性を残している。Sosei Heptaresでは、独自のStaR®技術を用いてGPCRに変異を導入することで熱安定化させ、特定の立体構造へと変化させる。この精製タンパク質に生物物理学的スクリーニング技術および結晶化を適応することで、X線結晶構造が得られ、ヒット化合物探索や構造ベース創薬(SBDD)を加速することができる。こうしたアプローチは、例えばサブタイプの選択性を解明するための合理的な化合物デザインや、受容体の望ましい立体構造に特異的に結合するリガンドのスクリーニングを可能にするため、創薬のより困難なターゲットにおいて特に適している。StaR®技術を用いることにより、Sosei Heptaresは既に多くのGPCR構造を解明し、神経系疾患、消化器系疾患、オンコロジーを含めた広範な疾患にわたる創薬のパイプラインを構築してきた。本講義では、代謝型グルタミン酸受容体5(mGluR5)のネガティブアロステリックモジュレーターであるHTL0014242をケーススタディとして、StaR®技術がどのように創薬プロセスを支えているのかを説明する。さらに、内在性リガンドが不明なオーファンGPCRなどの、未解明部分の多い受容体創薬ターゲットにおける徹底したターゲットバリデーションの重要性についても論ずる。

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