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開発

アルツハイマー型認知症患者に対する修正型の正解経路探索学習の活用

By Pradeep Nathan | Jul 22, 2019

カンファレンス

アルツハイマー病協会国際会議(AAIC 2019)

2019年7月14~18日
Los Angeles, U.S.
Alzheimer’s Association

カンファレンス ウェブサイト

 

要旨

アルツハイマー型認知症患者に対する修正型の正解経路探索学習の活用

Chris J Edgar1, Tim Tasker2, Adrian Schembri1, Babli Millais2, Bharat Ruparelia2, Odile Dewit2, Stephen Jones2, Paul Maruff1, Pradeep J. Nathan2

1.  Cogstate, New Haven, CT, USA
2.  Sosei Heptares, Cambridge, UK

背景: 迷路試験は視空間的認知および遂行機能の測定に長く用いられてきた。視空間的認知および遂行機能における障害は、初期のアルツハイマー病においてその重要性に対する認識が高まっている。あらかじめ明示された迷路とは対照的に、修正型の正解経路探索は、経路選択点を配置した潜在ルールを用いることから、より大量のデータを収集することができる。コンピュータ利用型(例えば、グロトン迷路試験、以下「GMLT」)では、手動型よりも広範な分析が可能である一方、アルツハイマー型(以下「AD」)認知症ではその複雑なルールを用いるのが難しい場合がある。ここでは、軽度から中等度のAD認知症患者に対して行った、単純化されたGMLTについての基本的な精神測定分析を提示する。

方法: 修正型GMLTでは、10×10のマスに隠された28段階の正解経路を設定する。マスを選択すると緑色のチェックマークが表示され、その経路が正解であればチェックマークは表示されたままとなる。従来型の試験よりもルールの数は少なく、試行回数は5回与えられ、選択を間違えた回数が記録される。また、少し時間をおいた後、選択した経路を再現しながらゴールから逆走する試験を一度だけ行う。ミニメンタールステート検査(MMSE)で12-24点を示すAD患者を対象とした第Ⅰb相臨床試験(NCT03456349)において本試験を実施し、データを収集した。欠測値、フロア効果および天井効果の有無、再試験信頼度および学習/練習効果について分析を行った。

結果: 59名(73.3±7.58歳;女性72.9%)の患者にベースライン時評価を実施し、データを収集した。当母集団に天井効果は生じていなかった。理論上のフロア(不正解の最大数)は存在しないが、数名の患者においてより多くの不正解数(1試行につき20回超)がみられたことから、試行を実施した母集団の一部の患者にとっては難しい試験であったことが示唆される。認知機能障害が試験の長さ、完了および信頼性に与える影響を検証するようなデータが報告されることになるだろう。

結論: 正解経路探索学習は、アルツハイマー病における短期記憶および遂行機能の有用な検査となる可能性がある。複雑なルールを排除することにより、AD認知症の患者にとってはより適した試験が実施可能である一方で、症状の深刻度が高まれば、患者によっては有用性に限界もあり得る。

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前脳基底核体積を指標とした、認知力に関するM1受容体拮抗薬ビペリデンの回路特異的実効感度の予測

Pradeep J. Nathan PhD 1,4,5, Geor Bakker PhD1,2,3, Alex Godwood MSc1, Claudia Vingerhoets PhD2,3, Jan Booij PhD MD2, Oswald Bloemen PhD MD3,6, Matthan W. Caan PhD2, and Therese van Amelsvoort PhD MD3

1.  Sosei Heptares, Cambridge, United Kingdom
2.  Department of Radiology and Nuclear Medicine, Amsterdam UMC, University of Amsterdam, the Netherlands
3.  Department of Psychiatry and Neuropsychology, Maastricht University, the Netherlands
4.  Brain Mapping Unit, Department of Psychiatry, University of Cambridge, Cambridge, United Kingdom
5.  School of Psychological Sciences, Monash University, Melbourne, Australia
6.  GGZ Centraal, Center for Mental Health Care Innova, the Netherlands

目的: 前脳基底核コリン作動性ニューロンは、コリン作動性神経物質を大脳皮質や海馬へ供給し、また一部はM1受容体の活性化を通じて、学習や記憶の調節に重要な役割を果たしている。基底前脳核(BFN)体積が小さいほど、アルツハイマー病における認知機能低下の速度が速まるという連関性が示されてきた。BFN体積とM1受容体の感受性との関係は未知であるが、より大きな記憶障害の根拠となっている可能性がある。 本研究は、BFN体積がビペリデンによるムスカリンM1受容体拮抗作用に対して、より大きな認知感受性を予測できるかどうかを評価することを目的として行った。

方法: BFN体積はT1強調画像3T MRIスキャンから定量化した。 合計59名の被験者(18〜40歳)に対してスキャンを実施した。ケンブリッジ自動神経心理学的検査バッテリー(CANTAB)を使用して、全被験者の認知力について、プラセボ投与中に1回、選択的M1拮抗薬であるビペリデン4mg投与後に1回、計2回評価を行った。

結果: 回帰分析では、基底核(CH4)容量とビペリデン誘発性認知障害との間に有意な予測関係は示されなかった。 しかし、内側中隔核(CH1)および海馬形成を神経支配するブローカ対角帯核(CH2)とブローカ対角水平亜核(CH3)は、ビペデリン誘発性の言語記憶遅延再生障害を有意に予測し、CH1、2、3の体積が少ないほど 遅延単語再生障害の程度がより大きくなると予測した(F = 4.81、p = 0.032)。

結論: M1受容体による記憶の調整は、前脳基底核コリン作動性ニューロンの完全性に依存している可能性があり、CH1、2、3および前脳基底核の容量が、M1受容体作動薬を含むコリン作動系をターゲットにした薬物の認知機能改善へのより優れた有効性を予測する有力なバイオマーカーとなる可能性がある。

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